価格2倍の牛乳の価値

読売新聞の日曜版で経済ジャーナリストの萩原博子さんが
味な話というコラムで“価格2倍の牛乳の価値”について書いておられた。

お子さんが生まれて以来、自然食の宅配で取り寄せていたのが
皆さんご存知の木次乳業の牛乳。

コラムにも書いておられましたが、木次の牛乳は短時間で高温殺菌するのではなく、
摂氏65℃の低温で30分じっくり加熱殺菌するパスチャライズドという製法で
作られています。

価格はスーパーの2倍、日持ちがせず、1週間たつと分離してしまう。

萩原さんもこんな面倒な牛乳を飲み続けた理由として、濃い味わいも
さることながら、牛乳くらいはちょっと高いが、安心して飲めるものを!と
思って20年以上飲み続けてこられたとか…

そんな萩原さんがあるとき、食と農業の専門家と視察に回った時に
たまたま木次乳業が視察先にあり、改めてご自身がこれまで
飲み続けてきた牛乳がどうして製造されているのかを目の当たりに…

生産現場をみて、乳牛の飼育状況を見て、生産の姿勢やこだわり、
情熱、そして一滴も無駄にしてはなならない、お客様のために
あえて大量生産とは程遠い、人手のいる作業を通して
自分たちが飲んでいる牛乳についての認識をあらたにされたそうです。

その後も木次の牛乳を飲むたびにその鮮烈な印象がよみがえり、
2倍おいしく感じるとともに、2倍の価格は当然だと思えるように…

経済ジャーナリストとしてシビアなはずの萩原さんが納得して、感動されたということは
木次乳業での体験に中小企業の生きるヒントがあると思います。

世の中、価格破壊が進んでいます。

コストダウンは必要ですが、一方で大量生産の牛乳があって、それが牛乳の指標となって、
大量生産品の価格のモノサシに全てが合わされるようなことがあります。

無駄なコストは排除すべきですが、丁寧に作っていこうとすれば手間もかかり、
生産量も限界があるので、当然価格も高くなります。

中小企業は大企業と価格競争しても勝てません。

その代わり、大手が真似できない、手間はかかるけれど、品質の高いモノ作りは可能です。

そしてそこには、品質や労働対価に見合った価格で売れなければ存続できません。

そのためには、萩原さんが視察で体験したようなことを、もっと別の方法で
それを受け入れてもらえるお客さんにダイレクトに届き、買っていただける仕組みを
作っていかなければなりません。

中小企業は高くても売れる、認めてもらえる品質の商品を開発し、
それを高くても買ってもらえる販売方法を考えなければなりません。

中小企業の賃上げが話題となっていますが、大企業の方ばかりに
目を向けていても何の解決にはなりません。

大企業=薄利多売から中小企業=高くても販売量が少なくても利益がとれる
商品やサービスを考えるべきです。

これができる企業のみが賃上げが可能だと思います。

戦後の高度成長期のように、大企業が潤えば、中小企業も潤うという
トリクルダウン的なおこぼれを期待していても当てになる時代は
いくら待ってもこないと思います(ペコリ)
by mitsuketai | 2014-03-03 23:29 | ウラを読み解く?