売れるものを持ってこい!

先般、『なぜザ・プレミアムモルツは売れ続けるのか?』という文庫版の書籍をご紹介した。

その中でサントリーの営業マンが大手スーパーA社にプレゼンするシーンがある。

営業マンが日頃から信頼関係を築いておられるA社の副社長にお願いして
役員会でリバタライズ(再活性化)して味をバージョンアップした商品のプレゼン。

“飲み飽きない”“味わいがある”…そして極め付けは副社長の“食事に合う”とのご評価。

そして、そこからの副社長の発言が紹介されている。

「われわれ小売業の使命は、メーカーが命をかけてつくったものを、一人でも多くのお客様に、
命をかけてお届けすることだ。サントリーが命をかけてつくった商品だ。命がけで売ろうじゃないか-」


プレゼンを無事終えた営業マンはこう振り返る。

「副社長がいいたかったのは、メーカーは、モノを売れない。小売業はモノをつくれない。
お互いが命をかけないと、素晴らしい商品は育たないよ、ということだと思います。
本当にありがったかたですね」


このくだりは文庫本で追加となった1章の部分で紹介されている。

最近、卸売業や生産設備を持たないOEMメーカーや小売業のバイヤーの方々から
『とにかく売れるものを作って持って来い』と一方的に言われることが、販売協力金という
値引き要求とともに要求されることが多くなったと耳にする。

「こんなものがあったらいいなあ」という商品をともに作り上げようという要望とかはなく、
ただ単に利幅であったり、目新しいものであったり、そして売れなかったら製品の
責任に転嫁され、最後は廃棄処分の憂き目や原材料の処分を負わされる。

少し売れたら売れたで、欠品したらペナルティーを課せられるとか…

そんな現下の状況でさすがと思わせる先ほどのやりとり!

サントリーの営業マンのプレゼンに対する熱き思いも素晴らしければ、
大手スーパーA社の副社長の考え方、行動も素晴らしいの言葉に尽きる。

かつての時代は大手広告代理店が消費者調査を行い、その結果をもとに
商品をつくれば、まま当たることがあり、マーケット・イン主導とも言われた時期もあった。

ところが、様々な商品が世にあふれ、しかもベンツに乗ってユニクロに買い物に行くという
訳の分からない、正体不明、捉えどころのない消費スタイルの多様化もあり、
「こういうモノがほしい」というニーズがマーケット・インだけの発想では見つからなくなってきた。

こういう時こそ、R&D部門が主体となってメーカーが行うプロダクトアウトからの提案と、
それに川下の流通からのマーケット・インの情報と検証が一体となって汗をかかないと
本当に消費者が喜ぶ「売れるモノ」なんて生まれるはずがないのではなかろうか?

ただ上から目線で“売れるモノを持ってこい!それを評価してやる!”

それが数々の経験を積んできた方じゃなく、薄っぺらい知恵でおっしゃっているところには
みんな“本当に売れるモノ”なんて持ってこなくなる時代がくるかもしれない。

その反面、メーカーと一緒に作り上げていこうという真摯な姿勢の流通業態はモノが売れないこの状況でも元気!

ますます売れるモノを作れるメーカーとそうでないメーカー、また売れるモノを供給してもらって
販売業績を上げる流通とそうでない流通の二極分化がこれからますます進むような気がしてならない(ペコリ)
by mitsuketai | 2012-07-20 18:25 | ヒットの予感