食品の表示は複雑怪奇で難しい!

阪急阪神ホテルズの食品表示が問題となっています。

誤表記なのか?偽装なのか? 

これは正直な意見を述べれば、線引きは難しいと思います。

もっとも車えびの代わりにブラックタイガーは誤表記では済まないと思いますが…(苦笑)

今回、あちこちで問題になっているのがフレッシュジュース!

確かに果実をカットして搾り器やジューサーで搾ればフレッシュジュースに間違いありません。

水を一滴も加えず搾ったままのストレートジュースを冷凍したものは…

正直、線引きは難しいですが、JAS法の果実飲料品質表示基準や
果実飲料等の表示に関する公正競争規約の規定によれば、これは認められないのです。

文言上、“手搾りのジュース”とうたってしまえば問題になるかもしれませんが、
“手搾りの風味を生かした冷凍オレンジジュース”ならOKかもしれませんが…

実際、手搾りのオレンジジュースと冷凍パックのストレートのオレンジジュースのどちらが美味しいか?

美味しさの観点から言えば、冷凍パックのジュースが美味しい場合もあります。

消費者がどちらに価値基準を置くか、その対価として支払った価格に見合うのか…

満足度がどこにあるか…この点が偽装なのか?認識の違いとしての誤表示なのかが難しいところ!

加工品のストレートジュースでも、JAS法の規定ではりんごジュースにビタミンCを酸化防止目的で加えても
ストレート表記できるのに、パイナップルジュースは同じようにビタミンCを加えるとストレートジュースの表記は
できません。

理由はパイナップルはビタミンCが豊富で褐変防止のビタミンCを添加しなくてもいいから認められない。

実際に、りんごの褐変度合いとパイナップルの褐変度合いのサンプルを持ち込んで折衝した経験もありますが、
最後はJAS法ではそういう規定になっているから…の一点張り(涙)

こればかりは担当者の立場も分かるので何とも言えないのですが、いささかスッキリしない規定も多いのです。

ご興味のある方は下記をクリックしてご覧下さい。

JAS法果実飲料品質表示基準

果実飲料等の表示に関する公正競争規約

いつも申し上げますが、食品の表示には食品衛生法、JAS法、景品表示法、計量法、健康増進法、薬事法など…

これらが複雑に入り組んでいて、正直申し上げて担当者には酷な部分がかなりあります。

しかもそれぞれの所轄官庁がバラバラ、つまり縦割り組織の弊害そのもの!

消費者庁で食品表示を一元化なんて言われていますが、東京にしかなく、
地方出先では各省庁にお伺いを立てないといけない煩雑さがあります。

食品表示の規定自体も業界団体の政治力の強弱で品目毎に厳しいものと緩やかなものがあります。

しかも規定にあいまいな部分もあって解釈も難しく、厳しい部分の確認になると
一見理不尽かな?と思われる杓子定規な対応やあとはメーカーの自己責任で…と
うまくかわされたり、担当者が代わると、解釈も180度変わることもあります。

当然、これで大丈夫!というお墨付きの印なんてほとんどもらえません。

これは立場が変わると、行政の方ではあとあと問題になるかもしれない証拠は残さない!
という組織風土というか縦割り体制の責任の所在問題も理解できない訳ではありません。

2人1組で交渉に行って、一字一句打合せ内容をもうひとりに筆記させたものを
確認のために翌日FAXを送っても否定されることも時にはあります。

また中小企業はいったんラベルやパッケージを印刷するとその消化に時間がかかり、
それを廃棄すると経費のロスにつながるので、慎重に見解を確認するのですが、
かなりの作業と時間と神経をすり減らします。

一方でグレーな表現で金儲けをしている業者が何ら摘発されない理不尽なこともままあります。

公平な対応を求めて、他の業者のグレーな部分も同じように指導をお願いしても
“全部には対応できません”とか“交通違反も全て取り締まれないでしょ!”と
まあ、行政担当者の立場も分かるのですが…(苦笑)

おそらくメーカーの担当者も大変ですし、最前線の部分で対応されておられる行政の担当者も
規定にあいまいな部分も多く、解釈に困られる部分もあると思います。

その上に、利益や差別化をもとめられるので大変な部分もあります。

また異常気象や安全安心、食物原料価格の高騰で原材料の調達先が変わるため、
パッケージに原産地表示を示すことが難しいこともあります。

食品業界に携わる人間には一部には偽装を平気に行う経営者や表示に不勉強、不真面目な経営者もいるかもしれませんが、曖昧な規定の狭間の中で、神経をすり減らしながら、真面目に悩んでいる者もたくさんいらっしゃいます。

だからと言って、今回の阪急阪神ホテルズの問題は、こういった事情とは一線を画すものであり、
その決定的な点は顧客に優良品と誤認させて、そこで利益を上げている点です。

今回このテーマで取り上げさせていただいたのは、複雑怪奇な食品表示規定と
政治的なしがらみや法令の解釈のさじ加減ひとつで真面目な食品業界が困っていることと
十把一絡げにしていただきたくないという制度上の不備を指摘したかったのです。

毎回思うのですが、“罪を憎みて、人を憎まず!”

食品業界全体がすっきりと、しかも事業として成り立ち、携わる人間が安心して
自信を持ってお客様に喜んでもらえることを生業としてできる制度・仕組みが必要なのでは…(ペコリ)
by mitsuketai | 2013-10-31 23:45 | 食の安全&表示