2005年 08月 29日
追悼 ムッシュ村上
追悼をする記事が掲載されていました。
今日は、村上さんの著書『私の履歴書 帝国ホテル厨房物語』を
ご紹介させていただきます。
この本は日本経済新聞の最終面に掲載された、帝国ホテル料理長の
村上信夫さんの連載記事に加筆された本です。
帝国ホテルの名料理長の苦労談や数々の先輩シェフとの厳しくも
心温まる交流など珠玉の話しがいっぱい。
小学生の頃に両親を亡くされ、洋食屋さんで住み込みから料理の道を
スタートされた話や軍隊で、明日、出撃する兵隊のためにカレーを作った
話やシベリア抑留で苦労された話など、苦労人ならではの逸話もいっぱい!
逆に、苦労人だけに、人を見る目は確かな逸話もあります。
下働きを黙々と続けてきた村上さんを当時の帝国ホテルの犬丸社長が
その才能を見抜き、ベルギー大使館への派遣に抜擢した話は、後に
あの有名な、三国シェフが同じように帝国ホテルで下働きを黙々とこなして
いたところを抜擢し、ご自身が体験されたことをもとに、稼いだお金を全て
つぎ込んで、色々なものを食べ、経験してこいと送り出したことにつながってきます。
また、NHKの『きょうの料理』でフランス料理を家庭の身近なものに
普及された功績も大きいものがあります。
NHKのプロジェクトXで放送された東京オリンピックの選手村
『富士食堂』での苦労談など、この本は食育教育のみならず
これからを担う若者の職業教育にも好適の書だと思います。
この本を読みながら、ムッシュ村上のご冥福をお祈りしたいと思います。